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喉頭浮腫の危険性とオンデマンド治療の有用性

喉頭浮腫の危険性とオンデマンド治療の有用性

監修:薬師寺慈恵病院 院長 薬師寺 泰匡 先生

HAE Expert Opinions Vol.2

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HAEの喉頭浮腫の危険性

どこに起こるか予測できず、部位によっては生命を脅かす

遺伝性血管性浮腫(HAE)では、全身のあらゆる部位(四肢、顔面、消化管など)に局所性の血管性浮腫をきたします。発作が生じる頻度や部位は患者さんによって異なりますが、まれではあるものの浮腫が喉頭に生じると、呼吸困難や窒息をきたすため、致死率が高いといわれています。
HAE家系(182家族、728例[診断例527例、未診断例201例])の死亡例を調査したドイツの報告1)では、死亡した214例のうち70例(32.7%)は喉頭浮腫による窒息死でした(図)。このうち、HAE診断例は7例、未診断例は63例でした。また、イタリアの報告2)では、HAE家系の調査を行ったところ、典型的な症状があって喉頭浮腫で死亡した親族が家系内に30%存在したとされています。ただし、HAEと確定診断された以降は、死亡例はないということです。なお、別のドイツの報告3)では、HAE患者さんの約半分が生涯のうちに喉頭浮腫をきたす可能性を示唆しています。
確かに、半数の患者さんは喉頭浮腫を経験しないわけですし、重症あるいは致死的な発作を経験していない方が多いのは事実ですが、それをもって、HAEの治療は必要ないと思ってほしくはありません。いつ致死的な発作が起こるかは予測ができないのです。ぜひこの機会に、HAEが発作部位によっては生命を脅かす可能性がある疾患であり、発作が起こったらできるだけ早く治療することが重要であるということを知っていただければと思います。

画像(PC)
本文

Bork K, et al. J Allergy Clin Immunol. 2012;130(3) 692-697. より作図

画像(SP)
本文

Bork K, et al. J Allergy Clin Immunol. 2012;130(3) 692-697. より作図


オンデマンド治療の有用性

いつ起こるか予測できない発作に備える:オンデマンド治療

HAEは診断がつけば有効な治療を受けられる疾患であり、HAEの急性発作は、オンデマンド治療により軽減することができます。
発作が起こったら、治療開始までの時間が短いほど、症状消失までにかかる時間が短いことがわかっています4)。また、医療機関でのオンデマンド治療よりも、自己投与の方が発作が起こってから薬剤投与までの時間が短いことが示されています5)。したがって、発作の早期治療には、患者さん自身が治療薬を携帯して自己投与することが必要不可欠だと考えられます。
なお、喉頭浮腫のように致死的でなくとも、四肢や顔面の浮腫による見た目の変化や消化管の浮腫による強い腹痛はHAE患者さんのQOLを著しく低下させるため、部位にかかわらず早期治療は患者さんにとって有用です。

海外ガイドラインにおけるオンデマンド治療

WAO/EAACI国際ガイドライン(2021年版)6)では、HAEの発作治療について、発作に対して治療を検討し、治療はできるだけ早く行うことを推奨しています。また、すべての患者に対して、少なくとも2回分以上のオンデマンド治療薬を常時携帯することを推奨しています。

  1. Bork K, et al. J Allergy Clin Immunol. 2012; 130(3): 692-697.
  2. Agostoni A, et al. Medicine (Baltimore). 1992; 71(4): 206-215.
  3. Bork K, et al. Arch Intern Med. 2003; 163(10): 1229-1235.
  4. Longhurst H, et al. Lancet. 2012; 379(9814): 474-481.
  5. Hernández Fernandez de Rojas D, et al. Int Arch Allergy Immunol. 2015; 167(1): 21-28.[COI:本試験はShire社(現:Takeda)の資金提供により実施された。本論文の著者のうち1名はShire社の社員である。著者にDyax社(現:Takeda)又はShire社よりコンサルタント料等を受領している者が含まれる。]
  6. Maurer M, et al. Allergy. 2022; 77(7): 1961-1990.