HAEの病型分類
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監修:福岡市民病院 院長 堀内 孝彦先生
HAEの3つの病型
C1インヒビター(C1-INH)とは、C1-INH遺伝子(SERPING1遺伝子)によってコードされている糖蛋白です。
C1-INHはセリンプロテアーゼ阻害作用を有し、血管透過性に関与するブラジキニンの活性の抑制などを介して、血漿成分の透過性をコントロールしています。 このC1-INHの機能が低下すると、ブラジキニン濃度の上昇がもたらされ、浮腫が誘発されます。
⇒詳細は、ブラジキニンとHAEの浮腫とのかかわりへ
遺伝性血管性浮腫(HAE)の病型は、SERPING1遺伝子の異常から生じるⅠ型及びⅡ型HAEと、SERPING1遺伝子には異常を認めないⅢ型HAE(HAE with normal C1-INH)の3つに分類されます(図)。
代表的なものはⅠ型及びⅡ型HAEで、SERPING1遺伝子の異常によりC1-INHの欠損又は機能障害が起こるために、ブラジキニンが過剰に産生されて血管性浮腫が起こります。
図1 HAEの3つの病型
【Ⅰ型HAE】
- SERPING1遺伝子変異によるC1インヒビター(C1-INH)の欠損が原因です。
- C1-INH蛋白量、C1-INH活性ともに低値を示します。
- HAE全体の85%を占めています1)。
【Ⅱ型HAE】
- SERPING1遺伝子変異によるC1-INHの機能障害が原因です。
- C1-INH蛋白量は正常又は上昇を示しますが、C1-INH活性は低値を示します。
- HAE全体の15%を占めています1)。
【Ⅲ型HAE(HAE with normal C1-INH)】
- SERPING1遺伝子変異は伴わず、症状はⅠ型及びⅡ型HAEと同様ですが、C1-INH蛋白量、機能ともに正常です。
- 女性に多く、エストロゲンや凝固ⅩⅡ因子※の異常が一部に関連するとされますが、発症機序の詳細は不明です。
- HAE全体の中で極めてまれな病型です2)。
3つの病型の割合、SERPING1遺伝子変異のパターンは、過去のわが国のHAE報告をすべてレビューしても欧米とほぼ同じです3)。
各病型の特徴は次のとおりです(表)。
表 HAE各病型の特徴(海外データ)
※ 凝固ⅩⅡ因子:体内の止血機構で働く血液凝固因子の1つ
※ 凝固ⅩⅡ因子:体内の止血機構で働く血液凝固因子の1つ
1)Zuraw BL et al: J Allergy Clin Immunol 2013; 131: 1491-1493
2)Maurer M, et al. Allergy. 2018; 73(8): 1575-1596.
3)Yamamoto T et al: Am J Med Sci 2012; 343: 210-214