後天性血友病A(Acquired Haemophilia A)
止血治療をどのように進めるか?
⽣命予後に直結、⼜は貧⾎の進⾏が継続する際にはただちに⽌⾎治療を開始
⻑期にわたり漫然と製剤の投与を継続しない
⾎栓症のリスクのある患者への治療には⼗分に注意する
後天性⾎友病Aにおいては、インヒビターが除去されない限り、重症・致命的な出⾎症状をきたすリスクが存在する。したがって、リスク除去のため診断後ただちに免疫抑制療法を開始するとともに、治療を必要とする出⾎症状がある場合には⽌⾎治療を⾏う1)。
⽣命予後に直結する臓器出⾎若しくは貧⾎の進⾏が継続する軟部組織への出⾎に対してはすみやかに⽌⾎治療を開始する。なお、とくに貧⾎の進⾏が認められない場合には積極的に⽌⾎治療を⾏う必要はない1,2)。
⽌⾎効果は、臨床的な出⾎症状、疼痛や腫脹の軽減、貧⾎進⾏の有無(ヘモグロビン値の推移)などを参考として判定する1,3)。
⽌⾎治療に使⽤する製剤は⾮常に⾼額なため、⻑期にわたる漫然とした製剤の投与を避ける1)。
⽌⾎治療に使⽤するバイパス⽌⾎製剤による副作⽤として、まれに、動脈⾎栓症(脳梗塞、⼼筋梗塞)、静脈⾎栓症(深部静脈⾎栓症、肺塞栓等)、播種性⾎管内凝固症候群(DIC)を合併することがある。したがって、これらの⾎栓症のリスク因⼦を有している患者ではとくに注意する3)。
後天性血友病Aの診断の流れ
監修:天野 景裕 先⽣(東京医科⼤学 医学部医学科臨床検査医学分野 教授)
監修:天野 景裕 先⽣(東京医科⼤学 医学部医学科臨床検査医学分野 教授)
後天性血友病Aの治療について
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参考文献
1)小川孔幸. 血栓止血誌 2018; 29(3): 262-272.
2)Collins PW, et al: Blood 2007; 109(5): 1870-1877.
3)朝倉英策. 日内会誌 2017; 106(9): 2010-2017.