免疫不全ライブラリー
原発性免疫不全症候群(PID)の治療
保存的治療
- 抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬の予防・治療的投与
- 免疫グロブリン補充療法
→ 抗体産生不全症・複合免疫不全症(約半数の患者)に対して - 免疫抑制療法:ステロイド、免疫抑制剤(CsA, Tacなど)、抗サイトカイン製剤(抗TNFα、免疫調整障害に対して抗IL1など)
→ 免疫調節障害に対して
根治的治療
- 造血幹細胞移植(HSCT)
骨髄移植、(末梢血幹細胞移植)、臍帯血移植
致死的な(長期予後50%以下の)疾患に対して行う
特に、T細胞、好中球、マクロファージ、樹状細胞の重症の分化異常、機能異常の病型が対象
【資料提供】防衛医科⼤学校 今井耕輔先生
代表的な原発性免疫不全症とその治療概要1
PID患者に対する免疫グロブリン投与
米国において、免疫グロブリン投与の後、PID患者の感染の頻度及び重症度が低下することが報告されました(t-test:p<0.001)3。
免疫グロブリン投与によるイベント発生率の変化
診断後免疫グロブリン投与1年後において、PID患者の感染症及び関連する症状の発生率が低くなることが示されました。
Limitation:米国における254のUS Jeffrey Modell Centers Network centersの専門医に送られた調査の分析です。
PID患者7318例のデータは診断の1年前と1年後に評価されました。
Adapted from Modell, et al. 2011
診断後免疫グロブリン投与1年後において、PID患者の感染症及び関連する症状の発生率が低くなることが示されました。
Limitation:米国における254のUS Jeffrey Modell Centers Network centersの専門医に送られた調査の分析です。
PID患者7318例のデータは診断の1年前と1年後に評価されました。
Adapted from Modell, et al. 2011
肺炎の発生率に対するIgGトラフ濃度の影響4
17の臨床研究を用いたPID患者676例のメタアナリシスにおいて、IgGトラフ値が100mg/dL増加するごとに肺炎の発生率が27%減少することが示されました4。IRR=0.726(95%CI:0.658‒0.801)。
肺炎の発生率に対するIgGトラフの影響
データポイントは、対数変換された患者の観察年数に比例してスケーリングされた個々の研究を表します。IVIG治療前の観察は四角、治療後の観察は丸で示します。実線はマルチレベルモデルの予測を示し、破線はメタ回帰の95% CIを示します。
CI=信頼区間 IRR=発生率比 IVIG=静脈内免疫グロブリン療法
Adapted from Orange JS, et al. 2010
データポイントは、対数変換された患者の観察年数に比例してスケーリングされた個々の研究を表します。IVIG治療前の観察は四角、治療後の観察は丸で示します。実線はマルチレベルモデルの予測を示し、破線はメタ回帰の95% CIを示します。
CI=信頼区間 IRR=発生率比 IVIG=静脈内免疫グロブリン療法
Adapted from Orange JS, et al. 2010
【参考情報】Ig投与中の患者・介護者における健康状態5
世界的な調査:国別及び免疫グロブリン投与経路別の
PID患者及び介護者の健康状態
(visual analog scale)a,5
aEQ-5D質問表;bEU5には英国、フランス、ドイツ、スペイン及びイタリアを含みます。
IV=静脈内投与、SC=皮下投与、EQ-5D=EuroQoL5 Dimensions
Adapted from Espanol, et al. 2014
aEQ-5D質問表;bEU5には英国、フランス、ドイツ、スペイン及びイタリアを含みます。
IV=静脈内投与、SC=皮下投与、EQ-5D=EuroQoL5 Dimensions
Adapted from Espanol, et al. 2014
【参考情報】PID患者にとって、通院頻度や投与方法は検討すべき事項5
患者(n = 216)及び介護者(両親)(n = 84)を対象とした調査より、免疫グロブリンの定期補充療法に対して、投与を受ける場所、投与方法、投与頻度などに嗜好性があることが示されました5。
【参考情報】免疫グロブリン補充療法に対する患者・介護者(両親)の嗜好性
Adapted from Espanol, et al. 2014
Limitation:本調査に参加された患者及び介護者は,IPOPIに参加されている患者であり,PID患者を代表する結果ではありません。
【資料提供】防衛医科大学校 今井耕輔先生
Adapted from Espanol, et al. 2014
Limitation:本調査に参加された患者及び介護者は,IPOPIに参加されている患者であり,PID患者を代表する結果ではありません。
【資料提供】防衛医科大学校 今井耕輔先生
Reference
1.森尾 友宏ら 病気がみえる 免疫・膠原病・感染症 vol6 第2版 メディックメディア; 2020
2.小児慢性特定疾病情報センター; https://www.shouman.jp/disease/details/01_04_025/ (Accessed; Feb. 2022)
3.Modell V, et al. Immunol Res. 2011; 51(1): 61‒70.
4.Orange JS, et al. Clin Immunol. 2010; 137(1): 21‒30.
5.Espanol T, et al. Patient Prefer Adherence. 2014; 8: 621‒629