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クロト社 糸瀬2024/02/21(水) - 17:40 に投稿

免疫不全ライブラリー

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免疫不全ライブラリー:PIDを疑う10の徴候
免疫不全ライブラリー:PIDの症状

遺伝形式


常染色体顕性遺伝(優性遺伝)Autosomal dominant inheritance

染色体2本(1セット)のうち、片方の遺伝子の変異で症状を生じます。

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どのような「変異」が生じる?

本文

ハプロ不全 haploinsufficiency
変異遺伝子によって、本来必要とされる十分な遺伝子産物が生成されなくなります。

機能獲得型変異 gain of function
変異遺伝子より生成された異常産物が新たな機能を獲得します。

顕性(優性)ネガティブ効果 dominant negative effect
変異遺伝子より生成された異常産物が正常産物の作用を阻害します。

家系図の例


 

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家系図の例
画像(SP)
家系図の例
本文
  • 基本的には、正常遺伝子 A と変異遺伝子 a との組み合わせ Aa で発症します。
    *AA は発症しません
  • ただし、Aa であってもそれぞれの疾患によって、発症しないこともあります。
    ⇒浸透率による違いがあります
  • 家系内で同じ変異遺伝子 a を共有していても、症状には個人差(幅)があります。
    ⇒表現型による違いがあります
  • 変異遺伝子 a が次世代に引き継がれる確率は、それぞれ(妊娠毎に)に50%(1/2)です。
  • 男性も女性も患者となりえます。
  • 親・子・孫など、どの世代にも患者がいることがあります。
  • 家系内に患者がいなくても発症する(Aa)ことがあり(突然変異)、発症者の次世代に変異遺伝子 a が引き継がれる確率は50%(1/2)となります。

*誰にでも「突然変異」は起こり得ます。


常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)Autosomal recessive inheritance

染色体2本(1セット)のうち、両方の遺伝子の変異で症状を生じます。
一方の変異だけもつ者は、発症しないので「保因者」とよばれます。

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どのような「変異」が生じる?

本文

機能喪失型変異 loss of function
両方の変異遺伝子異常によって正常な遺伝子産物が生成されず、あるいは遺伝子の機能が障害され病的な症状を生じます。

家系図の例


 

画像(PC)
画像(SP)
本文
  • 変異遺伝子 a がそろった aa で発症します。
    *AA は発症しません、Aaは基本的に発症しません
  • 正常遺伝子 A と変異遺伝子 a の組み合わせをもつカップル(ともに保因者)からは次世代へは25%(1/4)の確率で引き継がれます。
  • 男性も女性も患者となりえます。
  • 近親婚のカップルの場合、共通祖先がもつ変異遺伝子 a をそれぞれに共有している可能性が高くなります。

*常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる疾患の遺伝子については、誰でも数十個の原因遺伝子の保因者といわれています。


X連鎖性遺伝 X-Linked inheritance

X染色体(性染色体)上にある遺伝子の変異で症状を生じます。
X染色体を1つしか持たない男性は発症します。

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画像(SP)

家系図の例


 

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家系図の例
画像(SP)
家系図の例
本文
  • 変異遺伝子 Xa 1個のみ(正常遺伝子 XAを持たない)の男性 XaY が発症します。
  • 変異遺伝子 Xaと正常遺伝子 XA との組み合わせを持つ女性 XAXa は原則的に無症状であり、保因者です。
  • 罹患男性 XaY の娘は、全て XAXa の保因者となり、この保因者を通じて男孫の半分が罹患します。
  • 罹患男性 XaY の息子は、男性の妻が保因者( XAXa )でない限り全て正常です。
    女性保因者 XAXa は、軽度の症状を示すことがあります。

X染色体の不活化(Lyonの仮説)

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本文

女性の場合、各細胞では一方のX染色体がランダムに不活性化しているので、一方の遺伝子に変異があっても基本的に発症しない。
ただし、遺伝子変異のある細胞が多い場合に発症することがあります。

画像(SP)
本文

女性の場合、各細胞では一方のX染色体がランダムに不活性化しているので、一方の遺伝子に変異があっても基本的に発症しない。
ただし、遺伝子変異のある細胞が多い場合に発症することがあります。

画像(PC)
本文

男性の場合、各細胞では常にX染色体が活性化しているので、X染色体に遺伝子変異があると全ての細胞でタンパク質が作られず、発症する


【資料提供】
東京大学医学部附属病院 ゲノム診療部 特任研究員(認定遺伝カウンセラー®
秋山 奈々 先生、張 香理 先生

画像(SP)
本文

男性の場合、各細胞では常にX染色体が活性化しているので、X染色体に遺伝子変異があると全ての細胞でタンパク質が作られず、発症する


【資料提供】
東京大学医学部附属病院 ゲノム診療部 特任研究員(認定遺伝カウンセラー®
秋山 奈々 先生、張 香理 先生

本文

Reference

東京医科大学遺伝医学(臨床遺伝学) https://cligen.org/ (Accessed; Dec. 2021)

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