診断と鑑別
監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断方法
スクリーニングから診断までのフロー
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監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
病歴聴取による性別・年齢・発症時期の確認は、各疾患の特徴的な患者背景との照合のために必須であり、先天性か後天性かを判断することもできます。質問票を活用することも大切です。
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監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
病歴聴取による性別・年齢・発症時期の確認は、各疾患の特徴的な患者背景との照合のために必須であり、先天性か後天性かを判断することもできます。質問票を活用することも大切です。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)質問票の例
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監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
身体所見においては視診が重要であり、出血部位や皮膚などの表在性出血の有無、点状出血などの出血パターンの確認により一次止血の異常なのか、二次止血の異常なのかの判断をすることができます。
臨床検査の際には先行してスクリーニング検査を実施します。
基本的スクリーニング検査としては血算(血小板数)、凝固スクリーニング検査[プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン]は必須とされています。出血の程度を把握するためには血小板数の他、Hbなどの赤血球関連の指標も有用です。スクリーニング検査の評価をもとに、一次止血異常・二次止血異常の鑑別と同時にフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の確定に必要な検査の実施を検討します。確定診断には、さまざまな特殊検査が必要になりますので、専門医へのご紹介をおすすめします。
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監修:愛知医科大学病院 中央臨床検査部 教授 中山 享之 先生
身体所見においては視診が重要であり、出血部位や皮膚などの表在性出血の有無、点状出血などの出血パターンの確認により一次止血の異常なのか、二次止血の異常なのかの判断をすることができます。
臨床検査の際には先行してスクリーニング検査を実施します。
基本的スクリーニング検査としては血算(血小板数)、凝固スクリーニング検査[プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲン]は必須とされています。出血の程度を把握するためには血小板数の他、Hbなどの赤血球関連の指標も有用です。スクリーニング検査の評価をもとに、一次止血異常・二次止血異常の鑑別と同時にフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の確定に必要な検査の実施を検討します。確定診断には、さまざまな特殊検査が必要になりますので、専門医へのご紹介をおすすめします。
以下、日本血栓止血学会von Wilebrand病(VWD)の診療ガイドライン2021年度版より一部抜粋。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断アルゴリズム
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 図5
von Willebrand病(VWD)の診療ガイドライン2021年版によると、反復する粘膜・皮膚出血(鼻出血、紫斑、口腔内出血、異常生理出血、消化管出血など)の症状を呈し、同じ症状の家族歴を認める場合は、VWDを含む出血性疾患を考慮に入れます。そのため、出血歴や現病歴を反映した質問票や出血評価ツールは出血性疾患のスクリーニングに有用です。
出血スクリーニング検査には全血球数、PT、APTT、フィブリノゲンを実施します。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断にはVWF抗原量、VWFリストセチンコファクター活性(VWF活性)、第Ⅷ因子活性の測定が必須になります。VWFレベル(VWF活性またはVWF抗原量)が30%未満の場合をフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)と診断します。
VWF活性及びVWF抗原量は健常者での変動が大きく、血液型(O型)、運動、ストレス、炎症、妊娠などの様々な因子により変動します。鼻出血や過多月経などは非フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)患者にも認められる症状ですので、1回のみの測定でフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)であると安易に診断してはいけません。VWF活性及びVWF抗原量の測定は最低2~3回実施して慎重に判断する必要があります。
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 図5
von Willebrand病(VWD)の診療ガイドライン2021年版によると、反復する粘膜・皮膚出血(鼻出血、紫斑、口腔内出血、異常生理出血、消化管出血など)の症状を呈し、同じ症状の家族歴を認める場合は、VWDを含む出血性疾患を考慮に入れます。そのため、出血歴や現病歴を反映した質問票や出血評価ツールは出血性疾患のスクリーニングに有用です。
出血スクリーニング検査には全血球数、PT、APTT、フィブリノゲンを実施します。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の診断にはVWF抗原量、VWFリストセチンコファクター活性(VWF活性)、第Ⅷ因子活性の測定が必須になります。VWFレベル(VWF活性またはVWF抗原量)が30%未満の場合をフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)と診断します。
VWF活性及びVWF抗原量は健常者での変動が大きく、血液型(O型)、運動、ストレス、炎症、妊娠などの様々な因子により変動します。鼻出血や過多月経などは非フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)患者にも認められる症状ですので、1回のみの測定でフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)であると安易に診断してはいけません。VWF活性及びVWF抗原量の測定は最低2~3回実施して慎重に判断する必要があります。
出血傾向に関する質問票例
(National Heart, Lung, and Blood Institutesが作成したvon Willebrand disease(VWD):evidence-based diagnosis and management Panel report (USA)より和訳して作成)
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 P433
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 P433
ISTH/SSC Bleeding Assessment Tool 有意(異常)な出血症状の診断基準
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表4
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表4
VWF値の変動要因
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表5
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von Willebrand 病(VWD)の診療ガイドライン2021年版 血栓止血誌;2021; 32(4), 413-481 表5
血友病Aとの鑑別
第VIII因子はVWFに結合して保護されているため、VWFの機能が著しく低下する重症VWDでは第VIII因子の低下も伴います。そのため、凝固検査を行うとどちらの疾患もAPTT延長、PT正常を示します。その次の精密検査では、第VIII因子活性だけでなくVWF抗原値及びVWF活性値も必ず測定してください。VWF抗原値及び活性値が、基準範囲内であれば血友病A、低下を認めればフォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)と診断されます。ただし2N型フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)は、VWF機能のうち第VIII因子への結合能のみが低下するためVWF抗原値及び活性値は正常で、一見すると血友病Aのようにみえることに留意します。
フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の検査と診断のポイント
【下敷き】フォン・ヴィレブランド病(von Willebrand病)の検査と診断のポイント
監修:兵庫医科大学 血液内科 講師 日笠 聡 先生