後天性血友病A(Acquired Haemophilia A)
後天性血友病Aが疑われる患者が来院したら?
最初の受診は、⼀般内科や整形外科など、⾎液内科以外の診療科が多い
出⾎傾向の既往歴、家族歴を確認
APTT、第Ⅷ因⼦活性及び第Ⅷ因⼦インヒビター測定
患者の受診動機としては出⾎症状が多い。最初に受診する診療科は⾎液内科ではなく、出⾎部位に応じた⼀般内科や整形外科などが多いこともあり1,2)、診断及び治療開始が遅くなることが少なくない。したがって、本症に遭遇する可能性のある診療科への啓発と、迅速に⾎液内科専⾨医へ紹介する体制の確⽴が望まれる。
広範な⽪下・筋⾁内出⾎にもかかわらず、出⾎傾向の既往歴や家族歴が認められない場合には本症を疑う。そして、凝固異常のスクリーニング検査を⾏い、⾎⼩板数及びプロトロンビン時間は正常で、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延⻑のみが認められることを確認する。ここでは、内因系凝固因⼦の先天的な⽋乏、ヘパリンなどの抗凝固剤の混⼊や、ループスアンチコアグラント(Lupus anticoagulant;LA)との鑑別に注意を要する3)。
確定診断のためには、第Ⅷ因⼦活性、第Ⅷ因⼦インヒビター及びフォン・ヴィレブランド因⼦(von Willebrand factor;VWF)活性を測定する。第Ⅷ因⼦が低下、第Ⅷ因⼦インヒビター⼒価が1ベセスダ単位/mL以上、VWF活性の低下がなく、LAの存在が否定された場合、後天性⾎友病Aと診断する3)。
後天性血友病Aの診断の流れ
監修:天野 景裕 先⽣(東京医科⼤学 医学部医学科臨床検査医学分野 教授)
監修:天野 景裕 先⽣(東京医科⼤学 医学部医学科臨床検査医学分野 教授)
後天性血友病Aの検査について知りたい方は
こちらの動画をご覧ください。
後天性血友病Aの診断について知りたい方は
こちらの動画をご覧ください。
参考文献
1)小川孔幸. 血栓止血誌 2018; 29(3): 262-272.
2)関 義信ら. 血栓止血誌 2017; 28(4): 510-517.
3)天野景裕. 臨床血液 2018; 59(6): 756-763.(著者にバクスアルタ[現 武田薬品]より利益受領している者が含まれる)
後天性血友病A 診断関連情報
さまざまな診療科にて後天性血友病Aと診断された症例をご紹介します。