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<p><span style="font-family:'Noto Sans', -apple-system, BlinkMacSystemFont, 'Segoe UI', Roboto, 'Helvetica Neue', Arial, 'Noto Sans', sans-serif, 'Apple Color Emoji', 'Segoe UI Emoji', 'Segoe UI Symbol', 'Noto Color Emoji';">潰瘍性大腸炎・クローン病</span></p>
UC 潰瘍性大腸炎|分類
潰瘍性大腸炎(UC)の診断が得られたら、適切な治療介入のために活動性、病変範囲、重症度を評価します。厚生労働省の特定疾患研究班の治療指針1)では、重症度に応じた治療方針が示されています。
病変の拡がりによる病型分類(図1)
直腸炎(proctitis):内視鏡検査により直腸S状部(RS)の口側に正常粘膜を認めるもの1)。
左側大腸炎(left-sided colitis):病変の範囲が脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を越えていないもの1)。
全大腸炎(total colitis):病変の範囲が脾彎曲部(ひわんきょくぶ)を越えて炎症が広がっているもの1)、2)。
右側あるいは区域性大腸炎(right-sided or segmental colitis):右側あるいは区域性に限局した炎症2)。クローン病や大腸結核との鑑別が困難で、診断は経過観察や切除手術または剖検の結果を待たねばならないこともある1)。
図1:病変の拡がりによる病型分類
前本篤男、日比紀文監修:チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.34-72, 2016
前本篤男、日比紀文監修:チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.34-72, 2016
病期の分類1)
活動期(active stage):血便を訴え、内視鏡的に血管透見像の消失、易出血性、びらん、または潰瘍などを認める状態。
寛解期(remission stage):血便が消失し、内視鏡的には活動期の所見が消失し、血管透見像が出現した状態。
臨床的重症度による分類(表1)1)、2)
軽症(mild):排便回数が1日4回以下で、37.5℃以上の発熱・90/分以上の頻脈・Hb10g/dL以下の貧血がなく、赤沈が正常の状態。表の1)~6)の6項目をすべて満たすもの。
中等症(moderate):軽症、重症の基準を満たさない中間の状態。
重症(severe):排便回数が1日6回以上で大部分が血液の便がみられ、その他に37.5℃以上の発熱または90/分以上の頻脈のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目以上を満たすもの。
劇症:重症の中でも特に症状が激しく重篤なもの。発症の経過により、急性劇症型と再燃劇症型に分ける。劇症の診断基準は以下の5項目をすべて満たすもの。
①重症基準を満たしている。
②15回/日以上の血性下痢が続いている。
③38℃以上の持続する高熱がある。
④10,000/mm3以上の白血球増多がある。
⑤強い腹痛がある。
表1:潰瘍性大腸炎の臨床的重症度分類
<注8>顕血便の判定
(−)血便なし(+)排便の半数以下でわずかに血液が付着(++)ほとんどの排便時に明らかな血液の混入(+++)大部分が血液
<注9>軽症の3)、4)、5)の(-)とは37.5℃以上の発熱がない、90/分以上の頻脈がない、Hb10g/dL以下の貧血がない、ことを示す。
<注10>CRPの正常値は施設の基準値とする。
<注11>重症とは1)および2)のほかに全身症状である3)または4)のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目以上を満たすものとする。軽症は6項目すべて満たすものとする。
<注12>中等症は重症と軽症の中間にあたるものとする。
<注13>潰瘍性大腸炎による臨床症状(排便回数、顕血便)を伴わない赤沈やCRPの高値のみで中等症とは判定しない。
<注14>重症の中でも特に症状が激しく重篤なものを劇症とし、発症の経過により、急性劇症型と再燃劇症型に分ける。劇症の診断基準は以下の5項目をすべて満たすものとする。
①重症基準を満たしている。
②15回/日以上の血性下痢が続いている。
③38℃以上の持続する高熱がある。
④10,000/mm3以上の白血球増多がある。
⑤強い腹痛がある。
厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版より引⽤改変
<注8>顕血便の判定
(−)血便なし(+)排便の半数以下でわずかに血液が付着(++)ほとんどの排便時に明らかな血液の混入(+++)大部分が血液
<注9>軽症の3)、4)、5)の(-)とは37.5℃以上の発熱がない、90/分以上の頻脈がない、Hb10g/dL以下の貧血がない、ことを示す。
<注10>CRPの正常値は施設の基準値とする。
<注11>重症とは1)および2)のほかに全身症状である3)または4)のいずれかを満たし、かつ6項目のうち4項目以上を満たすものとする。軽症は6項目すべて満たすものとする。
<注12>中等症は重症と軽症の中間にあたるものとする。
<注13>潰瘍性大腸炎による臨床症状(排便回数、顕血便)を伴わない赤沈やCRPの高値のみで中等症とは判定しない。
<注14>重症の中でも特に症状が激しく重篤なものを劇症とし、発症の経過により、急性劇症型と再燃劇症型に分ける。劇症の診断基準は以下の5項目をすべて満たすものとする。
①重症基準を満たしている。
②15回/日以上の血性下痢が続いている。
③38℃以上の持続する高熱がある。
④10,000/mm3以上の白血球増多がある。
⑤強い腹痛がある。
厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版より引⽤改変
海外の臨床的重症度指標:Mayo Score2)、3)
海外の臨床試験では、Mayo Score(0〜12点)などの臨床的重症度指標が用いられます。Mayo Scoreは排便回数、血便の程度、粘膜所見、医師による全般的評価の4項目で評価します。
Mayo Score
・点数は3日間の所見に基づく
・排便回数は各々の患者に正常回数を設定し、異常の程度を記録する
・日々の血便スコアは1日で最も高度な血便状態を記録する
※PGA(Physician's Global Assessment):医師による全般的評価は、他の3つの評価基準(排便回数、血便、粘膜所見)、腹部不快感、全身状態、主治医所見および患者の印象等を参考に記録する
前本篤男、日比紀文監修:チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.34-72, 2016
・点数は3日間の所見に基づく
・排便回数は各々の患者に正常回数を設定し、異常の程度を記録する
・日々の血便スコアは1日で最も高度な血便状態を記録する
※PGA(Physician's Global Assessment):医師による全般的評価は、他の3つの評価基準(排便回数、血便、粘膜所見)、腹部不快感、全身状態、主治医所見および患者の印象等を参考に記録する
前本篤男、日比紀文監修:チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.34-72, 2016
活動期内視鏡所見による分類(図2・表2)
重症度判定は、内視鏡で観察した範囲のうち最も所見の強いところで行います1)。
図2:活動期内視鏡所見による分類
de Lange T, et al.:BMC Gastroenterol, 4:9, 2004
de Lange T, et al.:BMC Gastroenterol, 4:9, 2004
表2:活動期内視鏡所見による分類
<注1>内視鏡的に観察した範囲で最も所見の強いところで診断する。内視鏡検査は前処置なしで短時間に施行し、必ずしも全大腸を観察する必要はない。
厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版
<注1>内視鏡的に観察した範囲で最も所見の強いところで診断する。内視鏡検査は前処置なしで短時間に施行し、必ずしも全大腸を観察する必要はない。
厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版
臨床経過による分類
再燃寛解型(relapse-remitting type):再燃と寛解を繰り返すもの1)、2)。
慢性持続型(chronic continuous type):初回発作より6ヵ月以上活動期にあるもの1)。
急性劇症型(急性電撃型)(acute fulminating type):きわめて激烈な症状で発症し、中毒性巨大結腸症、穿孔、敗血症などの合併症を伴うことが多い1)。
初回発作型(first attack type):発作が1回だけのもの、しかし将来再燃をきたし、再燃寛解型となる可能性が大きい1)。
引用資料
1)厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版
2) 日比紀文監修:チーム医療につなげる! IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.34-72, 2016
3)NPO法⼈ ⽇本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編:潰瘍性⼤腸炎の診療ガイド 第4版,⽂光堂, 東京, pp.10-16, 2021
【監修】国立大学法人東京医科歯科大学 消化器内科 准教授 長堀 正和 先生