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CD クローン病|治療(内科的治療)
治療の原則(図1)
治療の⽬的はクローン病(CD)の活動性をコントロールし、患者のQOLを⾼めることだけでなく、腸管切除回避などの⻑期予後改善と相関する粘膜治癒を発症早期から達成することにあり1)、治療にあたっては患者個々の社会的背景や環境を⼗分に考慮した上で、医師が治療⽬標の設定とそれに必要となる適正な治療を判断し、エビデンスも含めた患者への⼗分な説明と話し合いを通じて、その⽬標を共有し治療⽅針を決定します1)。初発・診断時や活動期には寛解導⼊を⽬的とした治療を⾏い、いったん寛解が導⼊されたら⻑期に寛解を維持する治療を⾏います1)。治療法には薬物療法、栄養療法などの内科的治療法と外科的治療法があり、単独あるいは組み合わせて選択されます1)。
図1:クローン病治療指針(内科)(2022年3⽉改訂)
*:現在保険適応には含まれていない
※(治療原則)内科治療への反応性や薬物による副作用あるいは合併症などに注意し、必要に応じて専門家の意見を聞き、外科治療のタイミングなどを誤らないようにする。薬用量や治療の使い分け、小児や外科治療など詳細は潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針本文を参照のこと。
厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版より引⽤改変
*:現在保険適応には含まれていない
※(治療原則)内科治療への反応性や薬物による副作用あるいは合併症などに注意し、必要に応じて専門家の意見を聞き、外科治療のタイミングなどを誤らないようにする。薬用量や治療の使い分け、小児や外科治療など詳細は潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針本文を参照のこと。
厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版より引⽤改変
治療のストラテジー(図2)
CDの治療は、患者の疾患活動性に応じてアミノサリチル酸(5-ASA)製剤や栄養療法からステロイド、抗TNF-α抗体というように治療内容を強化するStep-up療法を行います3)、4)。また、治療のステップアップの判断を迅速に行い、早めに治療強化をしていくAccelerated step-up療法も普及し始めています3)、4)。
最近では、腸管機能低下のリスクが高い病態の有無を見極め、ハイリスク患者に対しては、初期より生物学的製剤と免疫調節薬の併用による治療を導入して長期予後の改善を図るTop-down療法が提唱されています4)。リスク因子は、広範な小腸病変、内視鏡的に重症な潰瘍、診断時の肛門病変、狭窄型もしくは穿孔型、若年発症、複数回の腸管の手術歴、喫煙です3)。
図2:クローン病の治療ストラテジー
齊藤詠子、日比紀文監修:チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.103-181, 2016
齊藤詠子、日比紀文監修:チーム医療につなげる!IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.103-181, 2016
参考:栄養療法の位置づけ
クローン病の栄養療法では窒素源がアミノ酸で、かつ脂肪の少ない成分栄養剤、あるいは消化態栄養剤が一般的に使用されます1)、2)。栄養療法は副作用が少ないという特徴がありますが、一定量以上を継続するため患者の受容性が重要です1)。効果を期待しうるタイプは次のとおりです2)。
活動度:軽症~中等症
病型:小腸型
腸管合併症:瘻孔がない
狭窄あり:投与可能
排便回数:下痢が頻回でない
引用資料
1) 厚⽣労働科学研究費補助⾦ 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班)
令和3年度分担研究報告書 潰瘍性⼤腸炎・クローン病 診断基準・治療指針 令和3年度 改訂版
2) NPO法⼈ ⽇本炎症性腸疾患協会(CCFJ)編:クローン病の診療ガイド 第3版, ⽂光堂, 東京, pp. 42-69, 2021
3) 日比紀文監修:チーム医療につなげる! IBD診療ビジュアルテキスト, 羊土社, 東京, pp.103-181, 2016
4) 木田裕子ほか:Med Pract, 33(5):696-704, 2016
【監修】国立大学法人東京医科歯科大学 消化器内科 准教授 長堀 正和 先生